2020.07.29

スタイリストブログ

Aut Viam  【アウトウィアム】

 

 

フィレンツェの某有名レストランでシェフとして

腕を振るっていたルーカは南イタリア出身

 

フィレンツェにやってきたのは25歳の時

料理人になろうと思ったキッカケは今は亡き彼の祖父

バーリというアドリア海に面した街で料理人として

最後の最後まで働き続けた祖父(ノンノ)の姿はルーカに

いつの日か僕も彼のように料理で人を幸せにできる

そんな人間になろう・・・

ルーカは幼い頃からずっとその気持ちを心に秘めて過ごしてきた

 

フィレンツェでその道を選んだルーカは

創造性のあるその料理であっ!という間に

若い料理人達が憧れる存在になった

 

 

そう・・・世界にこんなことが起きる前までは・・・

 

パンデミックでレストランは閉鎖されてしまい

これからどうするばいいのか?と途方に暮れていた3月

きっと大丈夫と願った4月

長期戦になると確信した5月

不安な気持ちとは裏腹に時計の針は

当たり前のようにドンドン進んでいく

 

6月になり人と会えるようになったが

まだまだシェフとして仕事に戻ることは難しい

 

そんなある日の夜・・・ルーカは

友人数名を自宅のテラスに招きチェーナ(夕食)を振舞った

建物の最上階の彼のアパートからはフィレンツェの赤屋根が見える

21時を過ぎた頃5人の友達が到着した

 

なんとも解放感のあるその空間に綺麗にテーブルがセッティングされていた

やっと少し暗くなりだした時にルーカはキャンドルに火を灯した

 

友達であってもさすがプロ手を抜くことはない・・・

素晴らしいお料理の数々に友人達は大満足

ドルチェを出すころには三日月が顔を出していた

 

今回のパンデミックで積み上げてきた道が崩れ落ちてしまった・・

途方に暮れていたルーカに友達の存在は何よりも大切であると

再確認したと同時に自分の作る料理を自分でテーブルに運び

そして食べてくれる人の幸せな顔をこんな間近で見れること

 

ルーカは空を見上げノンノ(祖父)の顔を

思い浮かべながら・・心の中で呟いた

『これが僕のやりたかったことなのかも・・・』

 

あれから2か月

ルーカは自分のアパートをこじんまりとした

プライベートなレストランに改装し

今では知る人ぞ知る隠れ家レストランとして

毎日お客様の笑顔を見ながら料理をしている

 

パンデミックはとても悲しい出来事であった

今もまだはっきりした解決法は全世界で見つかっていない

でもルーカは言う

『これがあったことで僕にはこんなチャンスがやってきた』

 

ルーカは新しい道を自分で創ったのである

そんな彼のキッチンには

笑顔で微笑むノンノ(祖父)の写真が飾られていた

 

 

Aut Viam

~Troverò la strada o ne creerò una diversa~

 

【アウトウィアム】

~私は道をみつけるだろう

      さもなくばつくるだろう~