2020.03.20

スタイリストブログ

Incrocio  ~交差~

 

早朝のフィレンツェペレ―トラ空港

7時発のフランクフルト行き飛行機のチェックインがスタートした

チェックインカウンターは思った以上に混雑している

 

私の前にいたご婦人は飛行機に乗るためなのか

グレーのスウェットパンツにウォーキングシューズ

それでも決して家着に見えない着こなしは

シンプルなT シャツの上に羽織った上質な紺色の

ジャケットの存在だからなのだろうか

 

チェックインを済ませ搭乗口へ足を運び飛行機に乗り込んだ

長距離でない数時間のフライトは好んで窓際を選ぶようにしている

運よく私の隣は空席と思いきや最後に飛行機に乗り込んできたのは

先ほど私の前にいたあの紺色のジャケットのご婦人であった

 

彼女は『Buongiorno』と私に挨拶をした後

静かに座席に座りカチャッとシートベルトを締めた

少し時間が経ってドリンクサービスがスタートした時

彼女は私に『どちらまで?』と聞くので

私は『フランクフルトから日本に向かいます』と答えた

 

彼女は『やっぱり日本人だったのね』と流暢な日本語で話しだし

その整った綺麗な日本語に私は言葉を失ってしまうほどだった

 

今年で日本在住20年目だというではないか!

私がイタリア語を話せるとわかった彼女は

その後母国語で自分のことを話し始めた

 

日本人のご主人は20年前にイタリア料理の勉強で

南イタリアに滞在されていたそうだ。がしかし

仕事先を探せず仕方なく地域を変えてトスカーナ地方へと移動し

そこで彼女と出会ったらしい

 

私が座っていた窓際から差し込む朝日が彼女の顔を照らしていた

彼女が眩しそうに目を隠そうとしたときに彼女の左の薬指に輝く

ダイヤモンドの光が激しく反射して私の目に跳ね返ってきた

 

 

美しさの中に凛としているそのダイヤモンドのリング

そんな私の視線を感じたのか彼女はリングを指から外し

 

『Incrocio  ―交差

私と主人の出会いはこのリングのようだわ!

彼が南イタリアからトスカーナに移動していなければ私達は出会っていなかった

私が最初に彼のレストランを訪れたのはいつも行くレストランが閉まっていたから』

 

もしかしたらただの偶然だったのかもしれない

でもほんの少しタイミングがずれていたら私達の関係は存在しなかった

そしてこんな大きな光にはなっていなかったわ!と語った後

リングを薬指に戻してニコリと微笑んだ

 

彼女はフランクフルトに到着するまで静かに本を読んでいた

私はどこまでも続くモコモコした雲をずーっと窓から眺めていた

人生はミラクルだと・・・・そう思うかどうかは自分次第

 

フランクフルトに到着した

飛行機の中での彼女との会話も小さなIncrocio【交差】

『Buon viaggio e arrivederci ! 』

良いご旅行をさようなら!と挨拶をして

私はトランジットゲートに向かった

 

 

Incrocio(インクローチョ)

【交差】
〜 光と光は交り 輝きを増す。
     愛と愛は重なり 美しい絆となる 〜