2019.10.31

スタイリストブログ

forking paths

 

こんにちは。Angelaです。ハッピーハロウィーンです。お菓子欲しかったです。

今年も残すところあと2ヶ月を切ってまいりました。これから怒涛のクリスマスです。

今年こそはクリスマスケーキを買う。そう、ホールで!!

そしてそのクリスマスケーキ(ホール)を一人で家で食べる!

余ったクリスマスケーキ(ホール)は次の日の朝ごはんへ。

贅沢ですね。そしてすいません、どうでも良いお話ですね。

これからシジェーム上の吹き抜けはクリスマスのモニュメントがゆらゆら揺れる時期になってきますが、個人的には前回の塩田千春さんの舟の作品がとても好きでした。

真下から眺めると、舟の広がりが花びらのようだそうです。

わたしは毎回エスカレータや吹き抜けに面した通路からしか眺めていなかったのですが….。

ベルリンに拠点を置かれている塩田さん。10月27日まで森美術館で大個展を開催されていました。

滑り込みセーフで終了間際の夜の回へ行ってきたので、そちらをご紹介。

恥ずかしながら塩田千春さんを知るきっかけとなったのは他でもない、銀座シックスの吹き抜けのアートモニュメントでした。

店長会か何かの資料を眺めたいたら、「次回のアーティストはこちら!」みたいな感じで、塩田千春さんの作品が宙を舞う予告がされていました。

その資料にはシックスに展示するアートは載っていませんでしたが、彼女の代表的な作品などがさらっと掲載されていました。そこで「ああ!これは!」と目が釘付けになったのが、糸を使用したインスタレーションたち。

昨今、塩田さんは病を患い、大変な日々を過ごしていると何かの記事で読みました。そしてその罹患を通し、「死」とは、「魂」とはなんなのか、という思いが塩田さんの内に浮かび上がってきたそうです。

森美術館で行われていた個展は「魂がふるえる」。

わたしは文字通り、始めて彼女の作品の写真を見た時、そして銀座シックスの作品を動くエスカレータから見た時、例えようのないものに、体の内側を引っ張られました。

優雅でいて荘厳。けれど、無数の糸が虚しそうに揺れ、その間からどこへともなく何艘もの舟が揺れている。舟もよく見ると糸が織りなす輪郭のぼやけた残像たち。

特に銀座シックスに鎮座していたあのベージュの糸の合間を漂う黒い舟は、わたしにとってなぜかわかりませんが、とにかく「死」に近い作品のように感じました。恐らく色合いなどが影響しているのでしょうが…。

けれど、上の写真のような錯綜する赤い糸を見ていると、最近Netflixで見た”The OA”の物語を思い出します。

“The OA”自体は宗教色の少し強い、けれど「信じる」とはどのように発生するのか、そしてそれがどれだけ人を強くし、生きる希望となるのかという事を語っているドラマだとわたしは思っています。

このドラマの中で、「今いる世界を出て、別の次元の世界へ飛ぶ」という概念が出てきます。なんだかとても哲学チックなようでいて、量子力学的な側面も持っていそうな題材です。

わたしは小さい頃から、「今ここで、右を選んだけれど、例えば左を選んでいたらどうなっていたのだろう。そしてこことは別に、左を選んだわたしがいて、今とは異なる状況を生きているのではないだろうか」などと小さい頭で変な事を考える癖がありました。

“The OA”も似たような事を織り交ぜたストーリーとなっています。

塩田さんのあの赤い糸たちは、たくさんの分岐を経て、どこか終着点へ走っていました。

それらは始めは目で追えていても、気がつくと分岐のさらに奥へと潜り込み、次の分岐の時には見失ってしまっています。

きっと選択していったわたしたちも同じようなものなのではないかと、わたしは思いました。

わたしが選択をする時、その選択肢の数だけわたしは分岐し、異なる世界で異なる状況を生きていく。そしてその分岐したそれぞれのわたしは、別の誰かの分岐と交差して、また新たな選択肢を経て分岐していく。

なんだか精神世界のお話のようですが、わたしは少なくともこの考えを信じている節があります。

分岐して、そして誰かと交差して、また分岐する。その物語の数は無数にあり、世界を覆っている。けれどそれは目に見えるものではなくて、直感的に感じるものなのかも。

塩田さんの個展を見ていて思いましたが、「魂」や「存在」、ないしは「意味」という分野を手がけるアーティストは、創造とは破壊行為であり、何かを突き詰め見つめ、創るとき、当の本人は壊れていくのだなと思いました。

創作行為は破壊行為と交差し、刹那的で衝撃的な何かを作り上げるのだと思います。

けれど、わたしたちはきっと、日々の営みと自身が大事にしている何かが交差する時、これも刹那的ですが、暖かく優しい懐古的な何かを感じ作り上げていくのだと思います。

人は、畢竟、過去の上に生きています。そしてそこに現在が交差し、未来へと道を伸ばしています。わたしたちは、破壊行為では生きられません。現在の交差の中で、誰かと交差し、そして分岐した先へと進んでいきます。

そんなことを塩田千春さんの個展へ行って、考えていました。

Incrocio 【交差】

〜光と光は交わり、輝きを増す。愛と愛は重なり、美しい絆となる〜

きっとわたしたちの営みはそういうふうにできているのだと思います。

どんなにくらい分岐を歩いてしまっていても、きっとどこかで何かと交差し、その交差で暗闇に穴を穿つ選択肢があるはずなのです。

日々様々な選択肢を強いられる営みの中で生活をしていますが、どこかのわたしは、あの時わたしが選ばなかった選択肢を選び、どのような状況を生きているのか。

そんなことをぼんやりと考えながら日々の選択をしてみても、また別の視点からの選択肢が増えそうですね。

なんて、だいぶ思想強めな文章になりましたが、言いたいことはただ一つ。

塩田千春さんは素晴らしいアーティストさんです。感激して泣きそうでした。