2018.11.16

宝石鑑定士ブログ

宝石小話 (色光を楽しむ その1)

 

気が付けば、今年もあと1カ月半、紅葉が美しい季節になっています。
日本には四季があり、一年を通して様々に変化する色を楽しむことができます。

私たちは大自然の色のように与えられるものだけでなく、ファッション、インテリアなどでは積極的に色を楽しんでいるわけですが、この「色とは何か?」を考えるとき、私はヒトに生まれてきて本当に良かったとつくづく思うのです。

物が色づいて見える原理は、まず光があってそれによって物体が照らされて、その物体から物体によって吸収されなかった光が私たちの目に届き、視細胞と呼ばれる光のセンサーに刺激を与え、その情報が脳に伝わり色を感じることができています。

物体色の3要素=「光源」、「物体」、「視覚」です。

ヒトの視覚は生物の長ーい進化の時を経て、捕食や敵から身を守るためなどの理由でこの機能は発達し、ただの明るさだけが判る単純器官から木になった実が食べごろかどうかを判別できる高性能な眼までに大進化してきたのです。

少し専門的になりますが、ヒトの眼の網膜にあるセンサー(視細胞)は実は2種類あって、明るさを感じる高感度の桿体(かんたい)細胞と、色彩を認識する錐体(すいたい)細胞がそれぞれの役目を担っています。

錐体はさらに3つあり、青、緑、赤の光に対応しています。このセンサーが3つで色の識別をしていることを「3色型色覚」といい、微妙な色の相違(なんと100万色!)の区別ができるのだとか。

多くの哺乳類は「2色型色覚」つまりセンサーが2つなので識別できる色は1万色とヒトと比べれば100分の1になっています。

私たちは、色に温度を感じ、匂いを感じ、色の印象から感情に様々影響があることを知っています。
3色型色覚は霊長類の大きな特徴ということですが、この能力を用いて洋服選びで悩み、気分転換に模様替えをしたりして楽しむことができるのは人類だけですね。

 

さて、宝石の世界ではこの「色」はとても大切な要素です。宝石においてはただの色というより、色づいた光「色光(しきこう)」として捉えています。

「この石きれい!」「この色がたまらなく大好き!」
皆様にそう言っていただけるよう日々最高の宝石を求めて奮闘しているわけですが、
宝石(カラードストーン)の美しさは色(カラー)が1番重要になります。

そして、色についてもう少し詳しくみてみると、その宝石自体の色だけでなく色に様々な変化を与える光学的性質、特殊効果等の要素が加わることもあり、それらを総合的に最高の状態で引き出す為には、カットがとても重要な要素になります。

カラードストーンも、ダイアモンドと同様に4つの価値要因(4C)による評価のアプローチをとりますが、色(カラー)とカットの2つの要因は、切り離すことができない一体のものになっているということが、ダイアモンドとの違いと言えるでしょう。

 

硬い話ばかりが続きました。

カラードストーンにはラウンドブリリアントカットのダイアモンドのようにカットグレードがあるわけではありません。
それぞれの宝石ごとに違う特性があり、簡単に言ってしまうと本当に美しい宝石はその宝石の特性に合った良いカットが施されているということです。

 

ロードライト ガーネット 1.06ct
Bellezza d’amore ベレッザダモーレ 【愛というものの美しさ】ネックレス

石全体が美しいパープルレッドの色光で輝いています。

 

ネオンピンク スピネル ルース

どんなに素晴らしい色を持つ原石であっても、カットが適切でないとこのように美しい色光の輝きを楽しむことはできないのです。

 

クロム スフェーン ルース

 

ダイアモンドより強い分散能力をもつこの宝石は、適切なカットが施されることで「ファイア」と呼ばれる虹色の色光が石全体の表面を転がるように観察されます。

一例として写真を撮りましたが、当然のことながらある瞬間のファイアしか捉えることができず、美しさをお見せするがとても難しいです。(私の写真の腕前は棚に上げますが)
この宝石の神秘的な美しさは是非現物を手に取ってご覧いただきたいです。

イベント 「記憶の行方2018 (ルースオーダー会)」

はいよいよ神戸店にて(12月1日~10日)開催されます。

魅力あふれる、個性豊かな宝石達を多数ご用意して皆様のお越しをお待ちしております。

 

コーディネート例は
クアラントット スタイリスト インスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto_stylist/

クアラントットインスタグラム
https://www.instagram.com/quarantotto/

 

GIA GG(米国宝石学会 宝石学修了者)
クアラントット宝石鑑定士
宝石学講座元講師
山本ウィリアム登喜生 Tokio WILLIAM Yamamoto